2.0 点
ブサイクガマガエル、マッチング記録
私はしがない20代の若者。見た目に全く自信がありませんでした・・・
しかし!!恋愛はしたい!!!!
こんな自分でも好きになってくれる人は現れる!!!
そう思ってYoutube広告で知った某アプリに登録してみました。
最初は指が震えました・・・
もし自分がやっているのが他人に知られたらどうしよう・・・
見た目に自信がない私は、心まで惨めになっていくのです。それでも、私は逃げません。なんとか彼女を作りたい。この一心でアプリに課金し、プロフィールを入力しました。
使ってみると、意外にも早くマッチングしていきます。見ず知らずの女の子が相手でも、文章では意外と上手くコミュニケーションが取れるものです。緊張もなく、たくさんの女の子とメッセージのやりとりをしていきました。
アプリを続けていくと、話している女の子のうち何人かは、アプリ内の通話に誘ってくれるようになりました。実際に通話してみると、思いのほか話が盛り上がります。プロフィールに相手の情報が書いてあり、メッセージのやりとりもしているため、自然と話題が繋がっていくのです。
私は確かな手応えを感じていました。リアルで出会う女の子と通話をして、こんなに盛り上がることもなかったからです。私の手応えも間違いではなかったのか、通話した女の子のうちの一人から、実際に出会いたいと言われました。浜辺美波さんのようなプロフィール画像の女性でした。少し画像加工がされているようですが、こんな美女と、本当にデート出来るのか。胸が高鳴ります。私のガマガエルのような顔が少しでもマシに見えるように出来るだけオシャレな服を着て、慣れてもないメンズメイクをしていきました。久しぶりの女の子とのデートです。自然と力が入ります。
デート場所に着くと、そこに浜辺美波さんはいませんでした。芸人の長州小力のような女性が、似合いもしないミニスカートで立っていました。私はアプリと画像加工技術を呪いました。
しかしそれも当然なのです。浜辺美波さんのような女性であれば、アプリに頼らずとも自然と彼氏が出来るはずなのです。相手も容貌に自信が無いからこそ、自分を偽れるアプリを使っているのです。私だってそうです。ガマガエルのような顔を加工し、少しでもイケて見えるように自撮りを頑張りました。お互い様なのです。ガマガエルと長州小力のモンスター同士、妥協して生きていこう。そうやって私は怒りをこらえながら、デートを続けました。
場所はオシャレなカフェです。不相応な二人はお揃いのオムライスを注文しました。もし相手が浜辺美波さんなら・・・そう何度も思いました。
複雑な気持ちで臨んだデートでしたが、思いのほか話が弾みました。長州小力のようなお顔も、愛嬌があって良いではないか、女性は見た目ではない、中身だ、と考えるようにし、なんとかこの女の子と付き合いたいと思いました。帰り際、LINEを交換し、アプリに頼らずともメッセージが出来るようになりました。次のデートの約束だってしました。もしかして、私のような男でも彼女が出来るのか、なんて素晴らしいアプリだ、と世界に感謝をし、デートを無事に終えました。
順調で楽しいはずのデートでしたが、予想も出来ない結末を迎えました。
なんとLINEのメッセージが帰ってこないのです。ブロックされていました!
あの長州小力は、ガマガエルで妥協する気はなかったのです!お前は相手を選べる立場か!と説教すらしたい気分でした。しかし、アプリを使っていることを周りに隠している私はこれを笑い話にすることすら出来ません。これほど悲しいことがあるでしょうか。私は世界を恨んでいます・・・
この怒りをどこに表現すれば良いかもわからず、私は自堕落な日々を過ごしています。それでも、いつかあの長州小力がブロックを解除し、私に連絡をくれることを夢見ています。